小坂まさ代2024年第3回定例会一般質問 3.子育て支援に本の力を

3.子育て支援に本の力を。
○小坂
(1)妊産婦向け図書館資料宅配サービスについて
障害があるなど図書館への来館が困難な方のお宅へ本や雑誌、CD、音訳・点訳図書等の図書館資料を届けるサービスを各自治体で実施している。現在本市が行っている宅配サービスについて伺う。

○教育部長
障害者サービスでは本の読みづらさを感じている方や図書館に来館できない方に対し、郵便局の制度を利用し、図書資料を送っている。視覚障害をお持ちの方への点字図書等については、送料無料の点字ゆうパック、来館することが困難な方へは心身障害者用ゆうメールを利用している。

○小坂
障害のある方だけではなく、高齢の方や病気やけがをされた方、育児や介護で図書館に足を運ぶ時間のない方など様々な図書館へのアクセスが困難な方に利用要件を広げ、ボランティアなどによる宅配サービスを行っている自治体もある。立川市、狛江市、調布市などでは妊産婦へもその利用要件を広げている。宅配業者を使うのではなく、市の職員やボランティアスタッフがお届けに行くことで顔の見える関係をつくり、妊娠期からの切れ目のない支援のきっかけとなるよう工夫されている。立川市では今年6月からのサービス開始にもかかわらず既に登録者数16名。図書館に行きたくても、この猛暑の中、体調が不安定で行くことができなかったと、利用者からは大変感謝されていると聞いた。本市でもこうした本を通じた温かいやり取りができる仕組みを、利用要件の拡充を検討してみてほしい。

○教育部長
障害者サービスだけでなく、図書館に来館することに困難を感じている様々な方も含めてどのような方策があるか、他の自治体の状況を確認したい。

(2)ブックスタートについて。
○小坂
全国1,741の自治体のうち86.6%の自治体で、赤ちゃんが誕生すると絵本や読み聞かせ体験のプレゼントをしている。絵本のプレゼントのみも入れると多摩26市で20市が導入済み。他市で第1子を出産された方から、「絵本のプレゼントはどこの自治体でも行っているのかと思っていました。国分寺市ではやっていないのですね、残念です」との声がこちらに幾つか届いている。2年前の一般質問で要望した際に、「この事業は単なる読書支援ということではなくて、母子保健など子育て支援にも関わる大きな内容の提案であると思っている。ただ教育委員会で検討するのみではなく、関係部署とも情報共有する必要がある。既に文献等もあるということも紹介されたのでしっかりと研究していきたい」との答弁だった。その後の研究状況について伺う。

○教育部長
ブックスタート事業については、図書館課で行っている既存事業を基に何ができるかを関係課と協議し、研究してきた。図書館ではこれまで親子のコミュニケーションを支えるものの一つとして乳幼児を対象とした絵本リスト、ひよこ絵本を健康推進課実施の集団健診時に図書館職員が健診会場へ出向き、参加者に直接お渡ししていた。その後、健診方法が個別健診となったことから絵本リストをお渡しする機会がなくなったため、令和5年度より子育て相談室のファーストバースデーサポート事業の育児パッケージと併せて絵本リストの一覧を同封し、紹介を行ってきた。

○小坂
岩手県立大学社会福祉学部の研究によれば、絵本の読み聞かせは親子の関係にプラスに働き、よい影響が生まれることが明らかになったとのこと。こうした効果のある読み聞かせを本当に必要としているのは、絵本に関心がない方や余裕がない方なのではないか。そうした方に体験を届けるためにはリストの配布だけでは不十分で、ブックスタートという仕組みが必要だと考える。引き続きの検討を。

(3)託児付き図書館サービスについて
図書館で過ごす自分の時間として、本多図書館と光図書館で実施されている。子育て中の方が図書館でゆっくり本に触れ、自分の時間を過ごすことができるよう、併設の公民館保育室でお子さんを無料で預かる事業。事務報告書によれば、昨年度の実績は本多図書館は54名、光図書館は25名とのことです。これまで寄せられている声と、この事業の意義について改めて伺う。

○教育部長
託児付き図書館サービスについては、令和元年度に提案型市民協働事業として開始し、令和3年度から図書館事業として実施している。ひとときでも育児から離れ、図書館でゆっくり本に触れ、ご自身の時間を過ごしていただくことを目的に行っている。参加され方からは、「1時間でも自分1人でゆっくり過ごす時間が持てて助かる」、「とてもよい気分転換になった」、「久しぶりに落ち着いて本が読めた」との声があった。また、「子どもにいい経験になったと思う」、「託児の経験を積ませることができた」など、お子さんの経験にもよいとの声もあった。アンケートからも参加者が図書館で本に親しみながら豊かな時間を過ごし、リフレッシュされており、またお子さんにとって託児を経験するよい機会となっていることから、親子それぞれにとって有意義な事業であると考えている。

○小坂
引き続き事業の継続を求める。

(4)市内の家庭文庫や地域文庫について
家庭文庫、地域文庫とは、個人やグループが自宅や地域の施設で子どもや親子を対象としておはなし会や読み聞かせを行う私設の小さな図書室のこと。現在市内には3つの文庫があり、図書館のホームページでも紹介されているのを確認した。
私も子どもが幼い頃通い、育児に対する日々の不安が減っていったことを覚えている。子育て中の保護者にとって非常に重要な市民のボランティア活動だと考える。市としてどのような支援や連携をしているのか。

○教育部長
家庭文庫・地域文庫の方々は、子どもの読書活動の地域の担い手として長年にわたり活動されている。支援や連携については、図書館ホームページで各団体の活動を紹介したり、図書館で行われるおはなし会では場所や絵本等の提供、家庭文庫・地域文庫が小学校に出向いて行うおはなしの出前では、必要に応じて図書の貸出しを行ったりしている。また、図書館と地域文庫等の共催で講演会も開催している。

○小坂
引き続きの支援と連携を。
続いて、親子ひろば、児童館子育て応援パートナーなどと文庫の連携について伺う。

○子ども家庭部長
子育て応援パートナー事業においては、市内の家庭文庫や地域文庫、またおはなしグループの方の活動場所などを巡回して活動内容についての情報収集を行い、子育て家庭に対し個別の相談等を通じて情報提供を行っている。また、市内で親子が集える場所を紹介する「こっこっこだより」への掲載をするとともに、活動の支援として、子育て支援活動団体等を集めて地域連携を協議する地区連絡会などを通じて親子ひろばや児童館など地域の子育て支援団体との連携を支援している。また、親子ひろばや児童館のおはなし会においても、文庫の方やおはなしグループの方々に活動いただいている。

(5)親子の居場所としての図書館。
図書館には親子向けの絵本が多くあり、読み聞かせできるスペースもある。ボランティアによるおはなし会も実施されているが、小さな子どもを連れての来館はほかの利用者に迷惑をかけてしまうのではと不安に思い、来館に至っていない保護者の方もいるようだ。ぜひ孤独な子育てに悩む保護者を1人でも減らせるよう、図書館が親子の居場所の一つとなるよう取組に期待したい。本市での現在の親子に向けた取組と今後について伺う。

○教育部長
親子に向けた取組としては、図書館の業務を体験し、読書活動につなげることを目的とした1日図書館員や、命の大切さを知るクワガタ飼育講座などの親子体験事業、公民館の保育室でお子さんを預かり子育て中の方がゆっくり図書館で本に触れながら過ごすことのできる託児付き図書館サービス、子どもとその保護者に向けて絵本の読み聞かせを行うおはなし会を行っている。今後についは、事業内容の充実や、多くの方に情報を届ける周知に努めていきたい。また、今後移転後の市役所分館については、これまでの駅前分館での行政資料、地域資料の取扱いとは異なり、周辺地域の特性やお子さん連れの来館・来庁者にも配慮した資料を取りそろえ、また親子で利用できるベンチなどの配置も予定している。限られたスペースではあるが、親子でも気持ちよく使っていただける空間にしていきたい。

○小坂
新庁舎1階にできる分館は、これまでの駅前分館にはない親子で絵本が楽しめるコーナーができるとのこと、大変期待している。本は赤ちゃんと保護者のコミュニケーションツールとしても、また行政と子育て中の保護者をつなぐにも非常に有効だと考える。図書館課と子育て相談室など、さらなる連携の強化を求める。