2022年予算特別委員会報告
先月の4日から11日まで予算特別委員会が開催されました。
国分寺市議会では予算書のページをめくりながら全議員で質疑精査していきます。
初めて市の予算に向き合った日々でした。
録画配信はこちらから。
https://kokubunji-city.stream.jfit.co.jp/?tpl=gikai_days_list&gikai_id=9
予算関係の資料の一部です。
令和4年度版
わ か り や す い! こ く ぶ ん じの よ さ ん
https://www.city.kokubunji.tokyo.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/003/446/wakariyasui.pdf
令和4年度における国分寺市の主な取り組み
令和4年度 政策的経費の内容
令和4年度予算(案)の概要
令和4年第1回定例会 議会資料
https://www.city.kokubunji.tokyo.jp/shigikai/1010551/1018442/index.html
定例会最終日22日の本会議では各会派から賛否についての討論があり、生活者ネットワークとして賛成をしました。
以下に討論についての原稿案を掲載します。
当日はこちらから抜粋した討論原稿を読み上げました。各会派の討論動画はこちらから。生活者ネットワークは1:10:35頃から1:25:39頃まで。
https://kokubunji-city.stream.jfit.co.jp/?tpl=play_vod&inquiry_id=279
令和4年度一般会計予算額は、前年度より18億3,908万円減の503億5,705万円となりました。令和3年度当初予算では、新型コロナウイルス感染症の経済的な影響を考慮し、歳入の根幹となる市税収入全体では、令和2年度比9億4000万円の減額を見込んでいましたが、決算の状況などから個人所得が例年並みに見込まれ、さらに、納税義務者数が増加することから、令和4年度は前年度比9億290万円増の238億4,535万円を計上しています。
つまり、新型コロナウイルス感染症の影響はあるものの、市税全体では、令和2年度の水準にあるということです。このことは、コロナ対策として、給付金や協力金などをはじめ、さまざまな支援策が講じられてきたことが大きいと考える一方で、生活保護に至る前の生活困窮者自立促進支援に係る質疑からは、「自立相談の件数や住居確保給付金の支給総額などを見ると、申請者数が減少しており、一定の支援がいきわたってきた」との答弁でしたが、まだまだコロナ前の状況には戻れない市民も多いこともわかりました。引き続き、困窮されている方々の生活実態を丁寧に把握し、暮らしを安定させるための適切な支援策を求めます。
市債の未償還額については、令和4年度では、前年度比4億6千万円増。今後、新庁舎や(仮称)リサイクルセンターの建設、また、公共施設マネジメントや学校施設整備など、多額な経費を必要とする事業が次々と予定されていますが、財政運営に係る方針に掲げた、公債費負担比率10%以下を踏まえ、フレームの算定では、その都度、より精度をあげた数値に見直していくことを求めます。また、年度末の全会計の基金残高では、前年度比約2億円の減額を見込み、139億6600万円の予算額となっています。このように、単年度で見ると、未償還額が増え、基金が減る予算編成になっていますが、長期的なスパンでは、人口推計も踏まえ、次世代につけを残さない予算編成を求めます。
個別事業では、総合ビジョンに掲げている中心事業の延期や事業費の見直しも、ゼロベースから精査されたことがわかりましたが、財政指標の一つである経常収支比率は97.5%と高く推計されており、特に、扶助費が増えていることからも、今後の推移に注意していく必要があると考えます。
予算特別委員会の直前には、ロシアによるウクライナへの侵攻が始まり、今もなお続いています。パンデミックや侵攻の影響から、物価は上がり、ガソリン、電気料金も高騰。東北地方で大きな地震もありました。先行き不透明な要素を多く抱えた状態で令和4年度がスタートしますが、社会情勢や経済動向を注視した、適切な財政運営を要望します。
個別事業について。
① 会計年度任用職員について。当市行政の重要な担い手である会計年度任用職員がより活躍できるよう、処遇の改善を図っていくと施政方針でも述べられ、令和4年度においては、約1億円の増額となっており、報酬がそれぞれ1号級アップされることについては評価する。正規職員でなくても、その責務に見合った待遇で雇用されるべきと考え、更なる働きやすい環境づくりを要望する。
② 多文化共生推進に要する経費では、国際協会と行政の役割分担を明確にし、国際協会の人件費を全額補助するため、補助金が、前年度比191万円の増額になった。当市でも在住外国人が増え、言葉や解釈の違いから重要な情報や思いが伝わりにくかったり、食や文化の違いからのトラブルが懸念されている。今後も在住外国人が増えていくだろうことを考えると、相談体制を強化するとともに、日本語教室や学習サポート、多言語への対応など、事業の充実に期待したい。また、現在、ウクライナへの侵攻が続いているが、心を痛めているロシアやウクライナの方もいる。差別や攻撃の矛先が向かぬような対応とともに、共に地域で暮らす市民として、お互いの理解や信頼が深まる取組を求める。
③ 乳児集団健診について。令和4年度の3.4か月児健診ついては、この時期の予防接種の多さから医師会との検討により、小児科などでの個別健診のみとするとのこと。相談の場は別途設けるとのことだが、育児に追われる中で改めて予約を取り赤ちゃん連れで出向くハードルは高く、また産後の心と体のバランスがとりにくい日々の中で自分では気づかないストレスが蓄積している場合も多い。乳児の集団健診では、子どもの健康状況の把握だけではなく、個別相談の場が設けられ、医師だけではなく、歯科衛生士、助産師、保健師、管理栄養士、心理相談担当など多職種が関わっており、日頃の子育ての疑問や悩みを気軽に相談できる場としての意義も大変大きいと考える。また、図書館課と連携した乳児向け絵本のブックリストの配布や、同じ月齢の子を育てる他の保護者と話せる機会でもあり、育児に対して前向きに取り組む力を促す、出会いの場としても重要。個別健診のみとなったことの検証をし、今後については集団健診も選択できるよう再検討を求める。
④ 子宮頸がん予防接種。HPVワクチンの接種については、厚労省より個別の勧奨を行うことは差し支えないという通知があり、当市でも令和4年度には、小学6年生~高校1年生相当の年齢の女性に、リーフレットと問診票を送付するとのこと。25%の接種率を見込み、予防接種委託料は約2150万円増となっている。このワクチンについては、現在も副反応による健康被害について係争中ということもあり、接種に不安を感じているという声が多い。また、定期的な検診の必要性は、ワクチンを接種したとしても変わらない。ホームページでの表現を工夫するなど、接種後に体調の変化等の症状が生じた方に対して、必要な支援が円滑に提供されること、副反応についての最新の情報提供を行うことなどの周知とともに、検診受診率向上の努力を求める。また、厚労省の昨年末の通知では、地域におけるHPVワクチン接種にかかる診療・相談体制の強化のイメージとして、学校と連携した相談支援体制を構築することが示されていた。学校と連携し、いつでも相談に対応できるような体制を迅速に整えてほしい。
⑤ 市道南290号線の一部拡幅について。西国分寺駅からJR武蔵野線のガード下をくぐり、府中街道にぬける道路は、東京都や交通管理者等と調整し、整備していくということだ。泉町には、いずみプラザや障害者センターがあり、多くの高齢者や障害者の方が利用している。このような場所であることもふまえ、バリアをより感じているこうした方々のご意見を伺いながら安全第一に整備を進めるよう求める。
⑥ 動植物調査と生物多様性地域戦略について。令和4年度は、「地球温暖化防止行動計画(市域版)」策定のための調査を実施予定。市域版の策定については、これまでにも繰り返し求めてきたが、コロナ禍を経て、あらためて、できる限りエネルギーも地産地消することが重要と考える。そして、地球環境を考えるにあたって、地球温暖化防止と並んで重要なのが生物多様性。国分寺市ビジョン後期実行計画には、令和4年度から2年間かけて動植物調査を行い、令和6年度には生物多様性地域戦略を策定する計画が示されていたが、1年延期となった。財政状況をみて判断したものと思うが、1年先送りになった時間を活用し関心ある市民が積極的に参加し、楽しんで継続できる調査方法の検討を。また、生物多様性地域戦略につなぐ基礎データの収集内容や分析方法など、次年度にはより有効な調査が行えるよう、十分な検討を求める。
⑦ 学童体験農園と学校給食について。学童体験農園委託料が減額になっていたことから、第8小学校での学童体験農園が廃止になることが分かった。これまで長くご協力いただいてきた農家の方には感謝しかないが、子どもたちが農業者と触れ合い、野菜作りを通して、多くのことを学ぶ貴重な体験であるだけに、とても残念。校内の畑に地域の方にお越しいただき、農業体験の場を確保しているとのことだが、今後も児童がさまざまな形で国分寺の農に触れる機会を作るよう要望する。また、学校給食については、このところの物価の高騰が大きく影響するものと懸念。栄養のバランスを考慮した安全で安心な給食は、子どもたちの心身の成長に欠かせない。栄養士の皆さんには、限られた予算の中さまざま工夫を凝らして献立を作っていただいているが、必要ならば食材費を補正するなど、質を落とさない学校給食の提供を。また、小学校給食への地場産野菜の使用率が、平成30年度までは20%台前半だったのが、令和元年度には26.5%、令和2年度には27.85%と、目標の30%に近づいている。農業は天候の影響を大きく受けるため、ハードルの高い目標と認識していたが、農業者と栄養士の方が話し合い、作付け計画を作るなどの努力の結果と考える。地産地消をすすめる上でも、学校給食への地場産野菜の導入は重要。今後も継続して進めてほしい。
⑧ 不登校支援について。当市における令和2年度の不登校児童生徒数は増加傾向が続いている。その数は138人で、平成28年度と比べると中学生約1.2倍、小学生は2.5倍。このうちトライルームを利用できているのは36人。不登校児童生徒や家族の抱える悩みは1人ひとり違う。トライルームの令和4年度の予算についてはタブレットの活用ができるよう通信費を増額し、ICT環境を整えていくとのこと、またスクールソーシャルワーカーの1名増員など一定の評価はできるが、居場所や相談窓口の拡充には至っていない。保護者からは体制の整備に取り組んでほしいという要望が多く届いている。初期の段階で相談できるような分かりやすい窓口の周知と、教育と福祉の連携を求める。
⑨ 学校キャンプと放課後子どもプラン。社会教育課による学校キャンプと放課後子どもプラン事業は、どちらも学校施設を利用し地域の方や保護者と子どもたちとが楽しく交流できる、貴重な体験や遊び、学びの場である。学校キャンプについては令和2年度から地域主体での実施となったが、市は引き続きテントや警備員の手配などの支援をしており、今後も子どもも含めた地域コミュニティーを育む支援を。放課後子どもプランについては、現在各小学校のPTAの保護者の協力なしには実施が出来ない事業。令和3年度は前年度から続く新型コロナウイルスの影響で、各校の実施状況に大きなばらつきが生じ、校庭開放すら数回しか実施できなかった学校もあった。現在、実施委員会の事務作業の軽減を図っているとのことだが、それに加えて、学校と実施委員会との潤滑油としての役割と、各校の要望に寄り添った早急なサポート体制づくりを要望する。家庭の経済格差による教育格差、体験の格差の広がりは社会問題となっており、この格差を少しでも減らすためにも、こうした地域で遊び学べる居場所の安定した取り組みが重要。更なる拡充を求める。
日々目を覆いたくなるような戦火のニュースが流れていますが、閉塞感漂うコロナ禍においても、地域社会に貢献をしたいという方からの相談は増えており、自発的に考え行動する市民が多くみられ、特に若い方の発想や行動力に希望を感じています。あらためて、全ての施策においてひとり一人の人権を大切にした市政運営を求めます。
*******
私にとって、初めての予算特別委員会。当市のお金の入り方、使い方について、担当から説明があり、予算書を1ページずつめくりながら、質疑を続けた6日間でした。
この予算書に書かれた数字は、私たちひとりひとりが日々の暮らしの中から託した大切なお金だということを、予算の審議中ずっと感じていました。
また、委員会中の3/10には東京大空襲の、3/11の午後2時46分には東日本大震災で亡くなった方々への黙祷の時間がありました。
目を閉じていると、平和への願いとともに、今、私がたくさんの方々と出会い生きていることへの感謝の気持ちが溢れてきました。
この街も国も世界も、つながっている。
11年前の3月11日とも、今のウクライナやロシアとも。
生まれてきたことに喜びを感じられるような社会であるよう努めていきたい、そう強く思っています。
ささやかに見えても身近な市政に声をあげていくことが平和へつながっていくと信じて。
令和4年度も皆さんの声を届け、より暮らしやすい街づくりに力を尽くしていきます。どうぞお声をお寄せください。
※資料は全て国分寺市ホームページより転載