小坂まさ代 2023年第2回定例会 一般質問 ~その1  1.防災対策について

1、防災対策について

(1)国分寺市地域防災計画について
小坂:近年、頻発化、激甚化する自然災害に対する備えは待ったなしの状況。市民の生命と財産を守ることは基礎自治体の大きな責務である。阪神・淡路大震災の被災者の死因の約8割は窒息、圧死であった。本市の地域防災計画の減災目標では、死者の半減と被災者の減を掲げ、目標を達成するための対策として建物の耐震化を位置づけている。本市では耐震改修促進計画に基づき耐震化を進めているが、現在どの程度進んでいるのか。

○まちづくり部長
住宅の耐震化率については、令和3年1月に推計した数値で、86.9%。その後、耐震改修等の助成を行っている件数が令和2年度28件、令和3年度30件、令和4年度33件。

小坂:建物の耐震化は、在宅避難をする上でも非常に重要。本市では、昭和56年5月31日以前に建てられた旧耐震基準の木造住宅を対象に耐震化支援事業を行っているが、地域防災計画では木造住宅助成だけではなくマンションなども必要な助成を行うとある。検討状況は。

○まちづくり部長
住宅の耐震化については、まず、木造住宅の耐震化から取り組むということで進めてきており、マンションについては、他市の耐震化助成の内容を見て研究。

多摩地域でも西東京市、日野市、武蔵野市、多摩市など8市で既に助成がある。東京都地域防災計画震災編が本年度修正され、耐震化にすぐには取り組めないマンションに対し、大規模な地震で被害が大きくなる傾向のあるピロティ階等の補強設計や工事に要する費用を、補助率2分の1で6月15日より受付が始まった。本市の計画の目標では、住宅は令和7年度までに耐震性の不足する住宅をおおむね解消するとある。今後検討を。

小坂:現在、本市では、高齢福祉課や障害福祉課が窓口となるバリアフリーリフォームについて助成を行っており、国では、経済産業省や環境省が窓の断熱リフォームに、国土交通省がこどもエコすまい支援事業で省エネリフォームに、東京都でも環境に配慮したリフォームに対する補助金がある。リフォームに関して様々に使える補助金があり、そうした情報を担当課に関わらず共有し、市民や事業者に周知することでバリアフリーや断熱と耐震化のリフォーム工事を同時に行う方も増え、耐震化率の向上にもつながるのではないか。令和4年第1回定例会の建設環境委員会では耐震改修の助成制度を活用する数が伸びていないという御答弁が見られ、平成30年から3年連続で減額補正となっていた。リフォームに使える補助金という視点での周知と、関係各所の連携、市報やホームページなどへの分かりやすい掲載を要望する。

災害対策基本法が平成25年に改正され、国の防災基本計画、基礎自治体の地域防災計画、自治会などによる地区防災計画という公助・共助・自助の仕組みづくりが進んでいる。本市では、全国に先駆け昭和59年に防災まちづくり地区の第1号地区である高木町自治会が地区防災計画を策定、市民防災まちづくり学校が昭和53年、市民防災推進委員が昭和55年、防災まちづくり推進地区の設立が昭和56年度と、現在まで続いている取組が昭和の時代から始まっている。現在まで防災まちづくり推進地区の15地区全てが地区防災計画を策定済みとなっているが、防災まちづくり推進地区は令和2年5月1日現在、市全体に対するカバー率は面積で49.2%、人口で47.8%とまだ半分に満たない状況。最終的には本市全体が防災まちづくり推進地区となることを目標としているが、どのように達成を目指していくのか。

○総務部長
防災まちづくり推進地区は地域住民の発意に基づくもの。第一に市として取り組むことは、地域の中に防災に関心のある市民を増やすことである。そのためにも、市民防災まちづくり学校事業や市民防災推進委員認定事業が成果を上げられるよう努めていく。また、既存の防災まちづくり推進地区の活動情報を周知するとともに、防災まちづくり推進地区に関心のある自治会・町内会等に対して丁寧に事業説明を行うなど、推進地区が増えるように引き続き取り組んでいく。

(2)福祉避難所について、

小坂:福祉避難所は、通常の避難所では過ごすことが難しい、高齢者や障害者、妊産婦、乳幼児など特別の配慮を必要とする方のための、バリアフリー設備や介護人材などが備えられた避難所。障害のある方などが避難時に混雑する一般の避難所で過ごした後、福祉避難所に移動するのは大変な困難を伴い、命に直結する問題。内閣府は令和3年5月に福祉避難所の確保・運営ガイドラインを改定し、福祉避難所を一般の避難所と同時期に開設すべきものと明記した。福祉避難所に関する本市の施策と、直接避難を行うための課題は。

○総務部長
市では現在、障害者を受け入れる福祉避難所として10施設、乳幼児使用の乳幼児用の福祉避難所として30施設、高齢者用の福祉避難所として5施設と協定を締結。協定の規定では、施設の安全性が確保され、対応スタッフや必要物資についてもめどが立った時点で受け入れることとしている。施設の安全性の確保や受入準備の時間を確保できない直接避難は施設にとっても負担が大きく、対応が困難。

小坂:実際に障害のある方などが混雑する一般の避難所に行き、その後二次避難所、福祉避難所に移動するということは現実的には大変厳しく、命に直接影響する問題。東日本大震災でも災害の直接的な被害により亡くなる方だけではなく、発災直後は危機を逃れても、その後の避難生活などにおいて亡くなる災害関連死が大きな問題となった。その多くが高齢者や障害者などの要配慮者、避難行動要支援者。改定されたガイドラインには、指定福祉避難所への直接の避難の促進とある。今回の計画の見直しのポイントの一つとして国や都のガイドラインとの整合性も挙げていることからも、この機会に、直接避難に対応するよう要望する。

福祉避難所の負担を軽減するには、事前に避難予定者と福祉避難所をマッチングさせておくことが重要。避難行動要支援者登録制度と登録者数の推移について問う。

○総務部長
避難行動要支援者登録制度は平成19年度から取組を開始、令和4年度末時点で2,218名が登録。現在は要介護4または5の方、身体障害者手帳1級または2級の交付を受けている方、愛の手帳1度または2度の交付を受けている方、精神障害者保健福祉手帳1級の交付を受けている方は自動で登録を行い、そのほか高齢者、障害者、妊産婦など災害発生時に避難支援を必要とする方は手挙げ方式で登録。

小坂:本市における避難行動要支援者の個別避難計画の策定状況と今後の取組について伺う。

○総務部長
避難行動要支援者の個別避難計画は、人工呼吸器を使用されている方は作成が進んでいる。その他の登録者は防災安全課と健康部、福祉部が連携し、情報の更新方法までを見据えた効率的な作成方法について検討を行っている。

小坂:大分県別府市では災害時に要配慮者を地域で守る仕組みをつくり、障害者等のインクルーシブ防災の実現を目指す事業を実施。優先度の高い障害者の方については本人も参加する地域調整会議を開き、相談支援専門員や地域住民が必要な情報を共有し個別避難計画を作成、福祉関係者への災害時ケアプラン作成研修会も実施している。東京都地域防災計画震災編が本年度修正され、その主なポイントとして個別避難計画策定等の取組を支援、避難所・福祉避難所・社会福祉施設などへの福祉専門職派遣による運営支援を実施とある。今後も先進事例の研究や東京都との連携をし、できるだけ早く誰一人取り残さない計画の策定を強く要望する。

その2に続く