小坂まさ代 2023年第2回定例会 一般質問 ~その2  2.地域で顔のみえる関係づくりを

2.地域で顔の見える関係づくりを
(1)自治会について、
小坂:市内には120以上の自治会や町内会があるが、会により活動内容は様々で、掲示板や回覧板による地域の情報提供、地域の環境美化活動やお祭り、廃品回収、子どもや高齢者などの見守り、防災訓練、街灯や公園の遊具の管理などを行っている。自治会や町内会について、本市の考え方や関わりについて問う。

○市民生活部長
自治会は、一市の広報機能の補完や防災防犯機能の発揮など地域コミュニティの中心として重要な役割を担っている団体と認識している。また、地域での見守りや美化活動など地域に根差した活動を行っていただいている中で、自分たちでまちをつくっていくという意識の高まりは極めて重要であると考える。

小坂:内閣府が行った2016年度の調査では、その課題として役員・運営の担い手不足86.1%、役員の高齢化82.8%といった結果が出ており、東京都の調査によれば、2016年から2022年の間に解散した自治会は144団体に上る。曲がり角に来ている会が多い状況で、活動の活性化を促すためにはそれぞれの自治会の活動の情報共有や横のつながりが必要だと考える。市として取り組んでいることは。

○市民生活部長
年2回社会福祉協議会と開催している自治会・町内会連絡会、ホームページで自治会・町内会に関する補助制度、自治会からの相談や問合せ等に関して、内容に応じた担当部署や先進的に取り組んでいる自治会等の情報提供など、必要に応じて紹介などを行っている。

小坂:自治会ホームページ作成など新しい取組を始めている自治会もあります。加入者を増やすために市として考えられる支援として、市のホームページにリンクを張り、自治会の情報を広めることが期待されている。実施を。

○市民生活部長
自治会の数が約120団体ございます。仮に全ての団体に対してリンクを張るということに関しては管理面などの課題が多いと現状では考えており、研究する。現状では市のホームページで自治会・町内会の一覧などの情報提供をしているので、その記載内容等の研究も併せてしていく。

小坂:平成28年3月発行の公益財団法人東京市町村自治調査会発行の「住民がつくる自立した地域コミュニティの形成に関する調査研究報告書」によれば、地域コミュニティに参加しない理由、加入しない理由について「知らなかった」が38.8%、「仕事や学業、家事などで忙しい」27.7%、「関心がない」27.1%。年代別に見ると、18歳から29歳に「知らなかった」という方が多い結果が出ている。若い世代へ地域情報の発信や提供に課題があることが分かる。市では、加入促進のためのチラシやポスターの作成などの支援をしているが、若い方や引っ越してこられた方は地域の情報もスマホから得ることが多い。ホームページのある団体はまだ少数、ぜひ検討を。

(2)PTAとコミュニティ・スクールについて、

小坂:小・中学生の保護者の多くが加入していたPTAだが、最近では加入率が低下。活動をきっかけに他の保護者や地域、学校とつながりができる一方で、平日に行われる活動や非効率な作業に対し負担が大きいとネガティブな意見を聞くことも少なくない。本市でもPTAのある中学校は3校のみ、小学校でも10校中半数で改革が進み、効率化、くじ引なしの任意の活動、手が挙がらない委員会は活動休止、各校から委員を出して活動してきた青少年育成地区委員会活動にも影響が及んでいる。こうした大きな変化について、市教委としてどのように認識しているのか。子どもたちのために何かしたくても、身近なPTA活動がなくなることでその機会が失われてしまっている方も多くいる。PTA連合会に参加している学校も、現在小学校7校、中学校3校、うち1校は今年度で脱退するとのこと。今後の小・中学生保護者との連携をどうしていくのか。

○教育長
家庭と学校が連携して子どもたちを育てている学校教育においては、保護者と子どもに関する情報共有や情報交換、学校運営に関する連携・協力を行っていくということは大切なこと。就労する保護者が増えるなど学校を取り巻く環境も大きく変わりつつあると認識している。保護者や地域の皆様を含めた新たな連携の在り方について改めて考える時期が来たと考え、その一つの方策としてコミュニティ・スクールの推進にあるのではないかと考える。

小坂:学校と子どもを地域で支える仕組みを構築することは喫緊の課題。本市の五小、七小、八小、九小で導入しているコミュニティ・スクール制度は、平成16年の地方教育行政の組織及び運営に関する法律の改正により制度化され、その後、平成29年の法改正により学校運営協議会の設置が教育委員会の努力義務とされた。文部科学省の令和4年3月コミュニティ・スクールの在り方等に関する検討会議最終まとめによると、教育委員会が導入の努力義務を重く受け止め、教育長のリーダーシップの下、コミュニティ・スクールの導入に向けた計画を主体的に作成することとある。今年度のコミュニティ・スクールフォーラムの予定も含めて、コミュニティ・スクール推進についての見解を問う。

○教育長
保護者、教員が子どもの育ちを支えるというPTAという枠組みも大切にしながら、地域の方々の力もいただきつつ、一緒に子どもたちを育むコミュニティ・スクールの全校導入に向けて引き続き取り組んでまいりたい。

今年度のコミュニティ・スクールフォーラムは、11月2日に市内の第五小学校を会場として各学校の学校長や教員、またコミュニティ・スクール協議会の委員、教育委員も含めて参集して実施する予定。細につきましては今後検討。

小坂:昨年まではフォーラムの参加者を限定して実施していたが、今年度はぜひ広く関心のある地域の方が参加できるよう要望。また、文部科学省ではこの事業促進のため、コミュニティ・スクールマイスターという専門家を教育委員会に派遣する制度もある。地域で学校や子どもたちを支える仕組みづくりは急務と考える。

⑶公民館の「幼い子のいる親のための教室」について、

小坂:昭和46年、教育講座参加のための保育要求を受け始まった本市の公民館での保育、翌昭和47年に保育者の賃金が予算化され、昭和56年には現在の幼い子のいる親のための教室の前身となる若い母親のための教室が始まった。子育てをしている時期こそ自分の生き方や子どもの発達について学習したいという母たちの強く熱い思いとその意義を公民館と市が認め、支え続け、現在に至っている。私は、親子ひろばや公園などではなかなか友人と呼べる人間関係がつくれなかったが、この講座に参加し、子育てをし始める早い段階で友人ができ、この安心感はその後の子育てを支え、大きな力となった。改めて、ここで幼い子のいる親のための教室を各公民館で続けていることの意義について、これまでの参加者数と併せて問う。

○教育部長
公民館の幼い子のいる親のための教室は、就学前の幼い子を持つ親の学習活動のために公民館内の保育室で子どもを預かる連続講座。親も子も地域で仲間をつくり、共に学習し、子どもを預ける体験を通して子どもの育つ力を支えるために何が大事かを確かめ合い、自分のこれからの生き方を考えることを趣旨としており、親子それぞれが地域とつながるきっかけづくりとして意義のある事業であると認識している。

幼い子のいる親のための教室としては平成19年から始まり、令和4年までに1,010人の方が参加。

小坂:この教室は週に一度、約半年間の連続講座。保護者が学んでいる間に、子どもは単に預けられているのではなく、地域の方々に見守られながら、異年齢の環境の中で子ども同士の関係も育んでいく。こうして親子共々育まれた関係は講座が終了した後も続き、公民館の自主グループ活動へと続いていきますが、この流れについて問う。

○教育部長
10回以上の講座を受講し、共に学び合い、情報交換する中で、参加者は講座仲間と自主グループをつくっていく。活動内容につきましては各グループで考え、子どもが就学前であれば、引き続き自主グループの活動中に保育室を利用することもできる。講座終了後もグループ活動を続け、子どもが大きくなっても仲間同士で連絡を取り合い、10年以上交流が続いているという方、ここから地域の活動につなげている方もあり、講座をきっかけに様々な人がつながり、活躍している方も多い。

小坂:女性の就労率が上がり、講座は育児休業中に参加できるものの、その後の仕事復帰とともにグループ活動には参加できなくなるという声も聞かれる。また、今月から始まった教室は満席が多く見られた。課題は。

○教育部長
講座終了後、地域とのつながりを持つ前に職場復帰し、グループ活動に参加できない方がいるという状況は認識している。講座のプログラムの中ではネットワークづくり、まちづくりの大切さを学び、つながりが継続することを期待。また、公民館利用グループとの交流を増やし、地域での顔見知りを増やすようにしている。少しでも多くの方にグループ活動へ参加していただくよう取り組んでいきたい。

この幼い子のいる親のための教室は、自身の学びや仲間づくり、地域とのつながりのきっかけとなる重要な講座の一つであると考えている。今後も子育て中の市民を応援するためにも継続していく。

小坂:地縁型コミュニティと言われる自治会・町内会の多くは、高齢化、担い手不足という厳しい状況に直面している。一方で、こくぶんじカレッジを修了された方たちなどによる、あるテーマを共通項とするテーマ型コミュニティと呼ばれる地域活動は、コロナ禍を経て、より活発になってきている。幼い子のいる親のための教室もテーマ型コミュニティと言えるのではないか。今後は、自治会などの地縁型コミュニティとテーマ型コミュニティそれぞれの強みと弱みの部分を融合し、防犯、防災、まちづくりといった共通項で連携させることが重要だと考える。本市では、平成17年より第二中の生徒会役員、第二中学校区の自治会・町内会、商店会、保護司、民生・児童委員、各校のPTA等で実行委員会を組織し、地域の安全・安心を考えるという企画が長年開かれているという事例や、地域の方々が奉仕で運営している本町南町八幡神社では社務所を不登校の親の会など様々な方たちに開放し、地縁だけではない交流の場として人の輪が広がっている事例がある。ぜひこうした取組をシェアし、さらに広げていけるような後押しを要望する。