小坂まさ代2023年第3回定例会一般質問(その3)学校に行けない、行かない子どもと家庭への支援について

3、学校に行けない、行かない子どもと家庭への支援について
(1)不登校児童・生徒、家庭への支援の現状について
文科省の令和3年度の調査によると、小・中学校における長期欠席者数は前年度比143.8%増の41万人を超え、うち不登校とされる数は約24万5,000人。本市においては、令和3年度末、小学生62名、中学生114名と報告されている。増え続けている不登校児童・生徒について、市として、どう子どもたちや家庭を支援していくのか、今年度把握している状況と取組について問う。
○教育長
本市において不登校児童・生徒の出現率は国や都よりも低いものの増加傾向にある。
対応はこれまで行っておりますトライルームやサポート教室での学習支援、スクール・ソーシャルワーカーによる家庭訪問と支援、またICTを活用したオンライン授業などの支援等を引き続き行っている。これに加え、各校においても、それぞれ工夫した対応を行っている。例えば、第六小学校では、教室に入ることが難しい児童が学校で過ごすことができるよう、マルチルームを設置。また、第一中学校では、心理学を専攻している大学院生がサポート教室で不登校傾向の生徒の学習支援や様々な相談に対応している事例もある。
また、今後、中学校や小学校の大規模校におきまして、サポート教室支援員の配置実数を倍増して、よりきめ細やかな対応の充実を図っていきたい。
○(小坂)
不登校の児童・生徒にも学びの場を提供するための教育機会確保法が2016年に成立、翌17年に策定された基本指針は、登校という結果のみを目標とするのではなく、児童・生徒が自らの進路を主体的に捉え、社会的に自立することを目指す必要があるとある。しかし、総務省が昨年、必要な支援が届けられているか実態調査をしたところ、小・中学校の約8割は登校という結果のみを目標にするのではないという趣旨を保護者に伝えたとの認識を示す一方で、こうした考え方を知っていたと答えた保護者は約4割にとどまり、認識のずれが明らかになった。文科省は不登校の児童・生徒や保護者を支援する際、相談機関に関する情報をまとめて提供するためのひな形を作成し、本年7月31日付の事務連絡で全国の教育委員会に活用を促したとのこと。
先日、視察に伺った調布市では、不登校の子どもたちの様々なニーズに応えられるよう、不登校特例校「はしうち教室」小学生の居場所「太陽の子」、訪問型支援「みらい」、大学生と遊べる「テラコヤ・スイッチ」など、多様な学びの場、支援の場の提供や、年に複数回、保護者の集いなどの支援を行っており、こうした支援事業をまとめ、NPOなど民間の団体を含め紹介をしているリーフレットを作成。このリーフレットは市のホームページで掲載するだけではなく、児童・生徒の全保護者にメールで配信したとのこと。このリーフレットには、東京都教育委員会の子ども向けデジタルリーフレットから抜粋した文章も掲載され、「誰でも不登校になることがあります」「自分で決めた目標に向かえるよう大人たちが支えます。」「不安な気持ちを我慢して学校に通うのではなく、家で休んだり、自分に合った方法で学習したりすることも大切です」と書かれ、子どもの回復状態に合った支援先や相談窓口が分かりやすく明記されている。本市においては、このような民間も含め一元化されたリーフレットはなく、当事者の保護者の方から、どこにもつながれず、とても不安だという声が以前より聞かれている。教育委員会にも届いているはずだ。適した支援につながれるよう、フリースクール、民間支援団体、親の会、相談機関等を一覧にしたリーフレットの作成が急務と考える。見解を伺う。
○教育長
本市でも、相談体制について作成したリーフレットやパワーポイント資料をホームページで公開している。しかし、フリースクールなど民間の施設については、様々な団体が様々な背景を持っているというようなことから、どのような団体があるかということについては一覧にして示すことはしていない。調布市のリーフレットは大変参考となる。今後、同様のものができるか考えていく。
○(小坂)
各校でICTを活用した学びにつながれている児童・生徒、どれくらいいるのか。学校へ行けない子どもたちのうち、どのくらいの割合で、オンラインででも学校とつながれているのか。また、オンラインやほかの支援につながれていない子ども、家庭への支援について、放っておかれていると感じている保護者の方もいる現状を、市としてどのように考えているのか。調布市では、学習支援員が自宅を訪問するアウトリーチ型の支援や大学生などによる自宅訪問「メンタルフレンド事業」なども実施されていた。生活者ネットワークでは、子どもの学びを保障するために、全校に配置されたサポート教室の活用や保健室、図書室との連携など、子どもたちを各学校で受け止める体制づくりを進めることと併せて、訪問型も含めた支援について検討をと数年前より要望してきた。本市での検討状況について問う。

○教育長
オンラインで学習に参加している児童・生徒は若干名。教育支援センター、トライルーム等の支援につながっていない児童・生徒に関しては、学校が継続して家庭への連絡を重ねるとともに、スクール・ソーシャルワーカーなどとつなぎながら家庭訪問を行うといった個に応じた対応も図っている。また、アウトリーチや都のメンタルフレンドについては、保護者が申込みをすれば活用できるというような状況にもなっている。また、現在、第一小学校、第二中学校が東京都の学校と家庭の連携推進事業を活用しながら、支援員を配置をしたりしながら、相談体制を構築している。様々な工夫をしながら支援をしていきたい。
○(小坂)
引き続き支援の拡充を求める。
西東京市では、学校に登校していない小・中学生のうち、継続的な支援につながっていない児童・生徒が利用できる場として、体験フリースペース、ニコモテラスを設置。テラスでの体験を通じて、次の居場所を見つけていくきっかけになることを目指し、希望者には進路等の情報提供、家庭訪問もしているとのこと。児童・生徒のみ、保護者の同伴、保護者のみでも利用でき、事前申込みは不要とのこと。「この日に行く」という約束をすると緊張してしまう子どもにとって、自分のタイミングで訪問できる居場所は大変好評で、開所から約3か月で約40名の新規相談者がテラスにつながったと聞いている。
つくば市や鎌倉市では、フリースクール利用料の家庭への補助が始まった。他市の支援策を研究したり、市内で居場所や学習支援の活動をしている団体とも意見交換をしながら、本市の子どもたちのためにできることを考え、一刻も早い新しい取組を要望する。

(2)スクールカウンセラーとスクール・ソーシャルワーカーについて
それぞれの現在の配置状況について伺う。
○教育長
スクール・カウンセラーは、各校に週1回、年間を通して1名が配置。大規模校の第四小学校には、週2回配置。
スクール・ソーシャルワーカーは、市の教育相談室に現在4名配置。定期的に各学校を巡回するとともに、各学校からの要望に応じて家庭訪問している。
○(小坂)
視察に行った調布市では、東京都のスクールカウンセラーのほか、市独自で予算を計上し、もう一名配置していた。本市でも各校の相談状況を研究し、必要であれば検討を。
また、スクール・ソーシャルワーカーは市の会計年度任用職員として配置しているが、昨年度末、4名中3名が退職されたと聞いている。令和4年度の事務報告書によれば、支援対象児童数は1,108名、家庭訪問465件、ケース会議180回、かなりの激務だったのではないか。スクール・ソーシャルワーカーの家庭支援の課題について伺う。
○教育長
スクール・ソーシャルワーカーについては、いじめや不登校、暴力行為、児童虐待など、生活指導上の困難な課題に対して、専門的な知識に基づき対応をする役割。社会福祉士や精神保健福祉士などを資格を有していても、これらの経験を重ねる段階の方もいるのが課題。
スクール・ソーシャルワーカー同士がケース会議をしたり、また、相談室の主任相談員、あるいは指導主事がスーパーバイズしたりということで支えている状況。支援は必要だと考えている。

○(小坂)
現場の声を受け止め、相談しやすい体制づくりなど、しっかりとしたサポートを重ねて要望。

(3)子ども自身の声を聞き、寄り添った支援を。
先月、市内在住の学校に行きづらさを抱えている小・中学生にオンラインアンケートを実施した。9歳から14歳、10名の方から回答を得たので紹介したい。
いつもいる場所はどこですかという問いに対し、自宅が9名、学校、自分のクラスの代わりに行きたいところはありますかという問いに対し、プレステなど、地域の誰でも行ける勉強しなくてよい場所が2名、フリースクール、トライルームなど、学校以外の学びの場2名、保健室など学校内の自分のクラス以外の場所1名、分からないが外には出たいと答えた子が5名、アンケートの回答数は少ないが、自宅で過ごしているが、どこか外に行きたいと願っている子が多いことがわかった。学校に行けない子どもが、そのままでいいよと認められ、自己肯定感を高めながら生きるエネルギーを充電する地域の居場所についての必要性について、市の見解を問う。
○教育長
子どもたちが自己肯定感を高めたり、あるいはエネルギーを充電しながら、落ち着いた生活を図るということでは居場所はとても大切だと考える。プレイステーションもその役割の一つになっている。昨今、国分寺市の社会福祉協議会が関わる「にわには。」という新しい居場所もできたと聞く。このような民間の施設も活用しながら、スクール・ソーシャルワーカー等が実際に訪問し、確認した上で、家庭にも紹介をしながら、子どもたちが様々な居場所で充実した生活が送れるようにということで、しっかりと寄り添いながら支援をしていきたい。

○(小坂)
最後に、子どもたちの声を届けたい。
「みんなと同じことをすることに違和感を感じています。もっと自由に勉強ができたらと思います。」9歳。
「何十人も同じペースで同じ内容を学ぶには無理があると感じ、行きたくなくなってしまった。」13歳。
「学校の好きなところはどこですか」という問いに、「忘れてしまいました」と答えた13歳。
「学びと遊びに境界線が引かれてしまう学校の勉強はつまらない。」10歳。

不登校を減らすのではなく、不登校になっても安心して別の学び方の選択肢が選べる社会へ、そして、その先には、誰もがその子らしくいられるインクルーシブな教室が実現することを強く願う。