小坂まさ代2024年第2回定例会一般質問 ~①次期国分寺市子ども若者・子育ていきいき計画について~
1.次期国分寺市子ども若者・子育ていきいき計画について
小坂
国分寺市子ども若者・子育ていきいき計画は、国分寺市地域福祉計画の子ども分野に係る計画として位置づけられ、本市における子ども子育て若者支援策の具体的な方向性や取組内容について定められている。現計画の期間は令和2年度から令和6年度まで、次期計画は令和7年度から11年度までの5か年となっているが、現段階での策定までのスケジュールについて改めて確認したい。
○子ども家庭部長
昨年度は計画策定のための資料を収集してきた。
国分寺市子ども若者・子育ていきいき計画策定検討委員会は年間5回、子ども・子育て会議は年間6回を予定している。
計画策定検討委員会では、識見者、関係機関と行政職員、公募市民により、計画の基本理念や施策の展開部分の検討を進めている。識見者及び子どもの保護者や子ども子育て支援に関する事業に従事する方と公募市民により構成された子ども・子育て会議では、策定検討委員会で検討された内容及び教育・保育の量の見込みと確保策について議論、最終的に決定する予定。また、年内に市民説明会、パブリック・コメントを実施し、3月までに計画を策定する予定。
小坂
1)こども基本法やこども大綱に基づく国のガイドラインと次期計画について
こども家庭庁が発足し、こども施策を社会全体で総合的かつ強力に推進していくための包括的な基本法としてこども基本法が令和5年4月に施行となった。また、昨年12月22日にはこども基本法に基づきこども政策を総合的に推進するため、政府全体のこども施策の基本的な方針を定めるこども大綱が閣議決定された。こども大綱では、全てのこども・若者が身体的、精神的、社会的に幸福な生活を送ることができる社会、こどもまんなか社会を目指すと、その目標を掲げている。これに基づき、こども家庭庁からは、自治体、こども計画策定のためのガイドラインや、こども・若者の意見の政策反映に向けたガイドラインが出ているが、本市ではどのように計画策定を進めてきたのか。
○子ども家庭部長
こども基本法第10条において、市町村は、こども大綱、都道府県こども計画を勘案して市町村こども計画を作成することに努めることとされている。国の自治体こども計画策定のためのガイドラインには、計画策定に当たって必要な基礎事項や留意点が取りまとめられている。また、こども基本法第11条において、こども施策の策定実施評価に当たり、こどもや若者、子育て当事者等の意見を反映させるために必要な措置を講ずることが国及び地方公共団体に義務づけられ、その実践方法がまとめられたこども・若者の意見の政策反映に向けたガイドラインが作成された。このガイドラインでは、こども・若者の声を政策に反映するポイントとして、企画する、事前に準備する、意見を聴く、意見を反映する、フィードバックするという進め方について具体的に示されている。これらを踏まえ、計画策定に当たっては各ガイドラインを活用し、こども基本法、こども大綱、東京都のこども計画、市の上位関連計画と整合性、連携を図るとともに、こども・若者の意見を聴取、反映させながら策定を進めているところ。
小坂
本年5月31日、国のこども政策推進会議では、こども大綱に基づく具体的な取組を一元的に示した初めてのアクションプランであるこどもまんなか実行計画2024を決定した。こどもや若者の権利の保障に関する取組や、困難な状況にあるこどもや若者、家族への支援に係る施策など387の項目が提示されている。この計画との整合性もしっかりと図り、進めていただきたい。
2)子どもの声をどう聴き、生かし、フィードバックしていくのか
こども基本法では、第3条で全てのこどもについて、その年齢及び発達の程度に応じて自己に直接関係する全ての事項に関して意見を表明する機会及び多様な社会活動に参画する機会が確保されること、意見が尊重され、その最善の利益が優先して考慮されることとされ、こどもの意見の重要性が述べられている。これまでこどもに関する政策は大人が決めてきたが、こどもは保護の対象者であると同時に権利の主体者であるともされ、これからは当事者であるこどもや若者も政策策定の過程に参画することとなる。次期計画策定においてこどもや若者の意見をどのように聴いてきたのか、どのような点に気をつけて意見収集したのか伺う。
○子ども家庭部長
こども・若者の意見の政策反映に向けたガイドラインの中に政策に当事者の声を反映するポイントが示されている。これを用いて同様の手順で進めてきた。幼稚園、保育園、学童保育所やプレイステーション、放課後等デイサービス、大学生等に意見を伺ってきた。それらの施設においては、事前にどのようなことをどのような聴き方で聴くと子どもたちに伝えやすいのか、子どもたちが答えやすいのか、言葉遣いや雰囲気づくりを職員と打合せ、なじみのある当該施設の職員にも意見を聴く際には入っていただくなど、工夫して実施した。
小坂
先日行われた本年度第1回の計画策定検討委員会を傍聴した際にも、時間をかけ、聴き方や雰囲気づくりなどに気を配り、丁寧にグループインタビューや大学でのワークショップをされたことを確認した。こども・若者本人だけではなく、こどもの居場所に関わる団体からも、日頃聞いている声などを代弁してもらい、ヒアリングしたとのこと。ぜひ計画に生かしていっていただきたい。今回聴いた声をどのように生かしていくのか。
○子ども家庭部長
今回、聴き取らせていただいた意見について現在まとめているところ。関連のある所管課に返し、事業の検討の参考にしてもらうとともに、策定中の計画の中に取り入れていきたいと考えている。
小坂
今回のヒアリングにおいて、学校との連携がなかったことは大変残念。令和5年6月16日の新たな教育振興基本計画の策定についてという通知によれば、各地方公共団体における地方計画や大綱の策定に当たっては、こども基本法第11条に基づき、こどもや関係者の意見を聴取し、反映させるために必要な措置を講じる必要があること、その際、各地方団体におけるこども政策担当部局とも連携し、対応することが重要であることと書かれている。また、教育政策の目標として主体的に社会の形成に参画する態度の育成、規範意識の醸成が挙げられ、基本施策として主権者教育の推進とともにこどもの意見表明が掲げられている。本市における今後の計画策定等に当たり、特別支援学級・学校、また市内私立の学校のこどもたちも含め、児童・生徒へのヒアリングや計画への意見の反映を求める。
声を聴かせてくれた子どもたちや若者たちには、どのようにフィードバックするのか。
○子ども家庭部長
フィードバックの具体的な実施方法については、現在まだ検討中。自分の意見が十分に聴かれたことや、自らによって社会に何らかの影響を与える変化をもたらすという経験は、自己肯定感、自己有用感、社会の一員として主体性を高めるということにつながると考える。意見を聴きに行く段階から、フィードバックについては意識しながら意見聴取を行っていた。声を聴かせてくれたこども・若者の方たちへ、「意見を言えてよかった」と思える意見の取りまとめと反映状況の提示方法等を検討していきたい。
小坂
前出のガイドラインによれば、こども・若者に意見を聴くことは、こども・若者の言うとおりにするということではなく、政策の目的や内容に応じて出された意見を正当に考慮することです。それは、こども・若者にとって一番よいことは何かを考えること、そして結論に至る考え方を説明し、対話する過程をつくることとある。フィードバックは、こども・若者に学びの視点を与える観点からも重要と考える。自分の意見がどのように検討され、影響を与えたかを知ることで社会参画への意識が高まり、より深い学びと次の意見表明へとつながると考える。本年2月に参加した「地方自治と子ども施策」全国自治体シンポジウムでの子ども議会議員からも、「反映されていなくても、反映されない理由を伝えてくれれば向き合ってくれていると感じるし、その理由を知ることで、次によりよい意見が出せる」という発言があった。反映状況の子どもたちへのフィードバックの工夫を要望する。
3)こどもパブリック・コメントの実施を
先日の計画策定検討委員会で報告されたこども・若者の意見聴取実施報告書によれば、意見聴取できたこども・若者の数は、保育園、幼稚園、児童館、学童保育所、公民館、プレイステーション、放課後等デイサービス、大学、そして成人の日式典実行委員等の合計166名とのこと。中・高生へのヒアリングはほとんどできていない。また、学校でのヒアリングができていないことからも、よりよい計画策定のためには当事者であるより多くのこども・若者の意見を聴く必要があると考える。こども・若者に向けた分かりやすい概要資料を作り、パブリック・コメントやキッズコメントの募集をぜひ実施していただきたい。
○子ども家庭部長
現在、こども向けのパブリック・コメントは検討していないが、パブリック・コメントについては年齢制限がないことから、子どもからも意見をいただくことは一定可能と考える。資料については、できるだけ分かりやすい記載、表現を工夫していきたい。
小坂
ぜひ配布の資料、こどもだけではなく、障害のある方や高齢の方、外国にルーツを持つ方にも見やすく分かりやすくするなどの検討を。札幌市では、令和5年12月25日から令和6年1月25日まで第2期札幌市教育振興基本計画案のパブリック・コメント募集に合わせて、小・中学生向けの概要資料を市内の小・中学校等に配布、こどもからも意見を募ったところ、小学生156人、中学生649人から1,027件ものキッズコメントが寄せられたとのこと。幾つか紹介する。
「分からない人に教える時間があるといい。」「学習につまずいている人への声かけや生徒同士の教え合いを大切にしてほしい。」「道徳の授業は、いろいろな人の考えを聞くためにもクラスを交ぜて行ったほうがいい。」「学校での勉強だけではなく、地域の方たちとのコミュニケーションや人間関係の築き方を勉強したりする時間があるといい。」「ICTを活用した授業を取り入れることも大事だが、鉛筆で書くことも大事にしたほうがいい。」小学生からは、「中学生と一緒に勉強する機会や、幼稚園や保育園の人と一緒に活動したい」という意見もあった。また、第2次札幌市子どもの貧困対策計画案でもキッズコメントを募集、小学生28人、中学生14人から59件の意見が寄せられたとのこと。中には、「悩みを相談する場所は身近にあることが重要。そうした場所をたくさんの人に知ってもらえるよう工夫し、子どもが悩みを気軽に相談できる、話せるようにしてほしい。」「札幌市奨学金事業はもっと進めるべき。経済的な理由で夢を諦めることがなくなり、子どもの可能性が広がると思う。」「収入が少ない家庭ほど平日に夕食を一人で食べる割合が高い、子ども食堂を増やすべき」など、子どもの視点からのしっかりとした意見が寄せられていた。
長野県軽井沢町でも第6次長期振興計画案に対するキッズコメントを募集、小・中学生283名から569件の意見が寄せられた。キッズコメント用の資料を作成することで、大人にもより計画が分かりやすく伝わり、自分事として市の計画を考えてもらうきっかけになり、また広く子どもの声を聴く優しい町としての周知もできるのではないか。「すべての人を大切にするまち宣言」をした本市にふさわしい取組と考える。こども大綱に基づき、今後こうしたキッズコメントを実施する自治体は増えてくるに違いなく、ぜひ率先して取り組んでほしい。子どもに意見を聴くというのは決して簡単なことではない。「聴かせてほしい」という大人の態度や聴き方のスキルも必要。本市に子どもの声に耳を傾ける大人が増え、子どもや若者にとって声を上げやすいまちになること、また声を上げられない子どもたちの声を代弁する仕組みの検討を。