小坂まさ代2024年第3回定例会一般質問 2.コミュニティ・スクールについて
2.コミュニティ・スクールについて
○小坂
コミュニティ・スクールは、学校と地域が力を合わせることによって互いに信頼し合い、それぞれの立場で主体的に地域の子どもたちの成長を支えていく仕組み。2017年3月、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部が改正され、学校運営協議会の設置が努力義務化された。また、2015年、中央教育審議会の「新しい時代の教育や地方創生の実現に向けた学校と地域の連携・協働の在り方と今後の推進方策について」という答申を受け、2018年からの第3期教育振興計画においては、全ての公立学校がコミュニティ・スクールになることを目指すとされた。令和5年度のコミュニティ・スクール及び地域学校協働活動実施状況報告、実施状況調査によると、全国の公立学校におけるコミュニティ・スクールの数は1万8,135校、52.3%の学校で導入されている。
今年度、文部科学省では、地域と学校の連携協働体制構築事業に約70億円の予算を計上した。本市では、これまで第七小学校、第八小学校、第九小学校、近年では令和2年に第五小学校で導入され、今年度は中学校としては初めての第四中学校を含む4校で導入された。現在、市立・公立小・中学校15校のうち8校がコミュニティ・スクール化されたことになる。
これまでも何度か質疑をしてきたが、「学校運営協議会での議論が進み、準備が整った学校から進めていく」との答弁だった。今年度4校一気に導入に至った市の考え方の変化について伺う。また、コミュニティ・スクール化されていない学校について、今後のスケジュール、また四小・四中のように複数校を一体化する予定の学校はあるのかも伺う。
○教育長
コミュニティ・スクールについては、これまで同様に準備が整った学校からコミュニティ・スクール化を進めていくという方針には全く変わりはない。ただ、コロナ禍もあり学校を支える仕組みの必要性などについては各学校と協議を重ねてきた。4校について準備が整ったということで今年度コミュニティ・スクール化した。今後は、令和7年度には全校のコミュニティ・スクール化を予定している。現在、学校の取組を支援いただける地域の方々に説明しながら、ご理解いただく調整の段階。また、複数校については今後も幾つかの学校が設置するというように聞いている。
○小坂
三鷹市では、月に1回程度開かれている各校のコミュニティ・スクールの委員会に教育委員会の各校担当が必ず出席し、伴走支援を行っていると聞く。本市でもこのような検討を求める。続いて、教育委員会が任命するコミュニティ・スクール協議会委員について伺う。現在の国分寺市コミュニティ・スクール協議会規則によれば委員は1校8人以内となっているが、昨年度までは15人以内だった。改正に至った考え方と現在の各校の協議委員数について伺う。
○教育長
コミュニティ・スクールの役割の一つには校長の経営方針を承認すること。こうした役割を踏まえ、これまで委員としていた学校管理職や教員などについては事務局と整理した。委員8名という人数については、整理に向けた協議段階において校長会と十分に調整を図り決定した。2校設置の場合には委員は16名となる。現段階の協議会委員の人数は、第一小学校が6名、第五小学校が8名、第七小学校が8名、第八小学校が8名、第九小学校が8名、第十小学校が7名、第四小学校・第四中学校が13名。欠員もあるが、それぞれの学校で今後さらに指名したい方が見つかった場合のことを考え、このような人数になっている。
○小坂
コミュニティ・スクール活動の中心となり、学校とボランティアをつなぐ重要な役割を果たすコーディネーター。国分寺市学校支援コーディネーター及び学校協力員設置要綱にはコーディネーターは1校につき6人までとあり、当初予算で各校6名、1人2万円、8校で96万円の報償費が計上されている。現在の各校の学校支援コーディネーターの人数と、規則の6名までという人数や2万円という金額の考え方について伺う。
○教育長
設置要綱については、全校コミュニティ・スクール化に向けて協議する上で、昨年度末に改定を行った。保護者、また地域の住民と共に連携・調整を行っていくのがコーディネーターの役割だが、学校側から「コーディネーターの報償費を引き上げてほしい」という強い要望があった。また人数については、校長会と調整を図りその人数になった。引上げの理由は、年間を通して通信費ですとか消耗品費、必要経費がかかることも勘案して年間2万円に引き上げた。コーディネーターの人数については平成25年の設置要綱制定時より1校6名で継続している。コーディネーターの人数は現在、第五小学校が3名、第七小学校が2名、第八小学校が6名、第九小学校が6名、第十小学校が3名。第一小学校、第四小学校・第四中学校については現在選定中。コーディネーターは非常に重要な役割なので慎重に丁寧に、またお願いする方には十分に理解と協力いただけるという方を選定するというところで進めている。
○小坂
続いて、学校協力員について伺う。学校協力員は国が示す協働活動サポーターのことで、本市では花壇の手入れや、学校からの依頼で授業のサポートに入ったりしているとのこと。コロナ禍においては消毒作業などをしていただいたと聞いている。現在の各校の学校協力員の人数について伺う。また、要綱によれば昨年までは学校協力員の謝礼について、活動時間により年額5,000円または1万円とあったが今年度からは無報酬となった。実働を担う学校協力員であるサポーターの方々への謝礼がなくなった理由、どのような議論を経て無報酬になったのか。
○教育長
各学校の学校協力員の人数は、現在各学校で取りまとめをしているところなので、現在答えられない。学校協力員は、保護者や地域住民が当事者として学校運営に参画することを通じて学校と地域の連携・協働体制が組織的・継続的に確立され、地域とともにある学校づくりが推進されることがコミュニティ・スクールの趣旨。それを鑑み、保護者や地域住民全体を対象として学校運営の参画を呼びかけるということとしている。これまでもPTA活動あるいはオヤジの会、また地域の協力隊といった方々が学校の様々な活動に協力いただいた。そういった方々も今後はさらに含まれるという状況になる。今後、より多くの住民や保護者の方々が、僅かな時間であってもそれぞれ可能な部分で学校運営へ参画してほしいという想定をしており今回整理し、無報酬とした。活動時における傷害保険はしっかりと準備を整えた。御理解いただきたい。
○小坂
国の地域と学校の連携・協働体制構築事業の資料によれば、地域コーディネーターや協働活動リーダーの謝金は1,480円まで、協働活動サポーターは最低賃金までを上限とされている。研修などの活動に際しての旅費交通費についても補助対象となっており、社会教育課の放課後子どもプラン事業のコーディネーターやサポーターにはこの基準で支給されている。国と東京都から3分の1ずつの補助がある。市の負担は全体の3分の1。コミュニティ・スクールの活動をされる方々にも支給していただきたい。また、今後全校で本格的に実施していくためには、印刷代や事務消耗品費は学校配当予算から回すのではなく、別建てでコミュニティ・スクール関連予算としての計上が必要だと考える。ぜひ来年度予算に反映していただきたい。今回答弁は求めないが、学校や地域の方が気持ちよく活動していただけるような財源確保を含めた環境整備を要望する。地域とともにある学校への転換、学校を核とした地域づくりを推進するためには、教育委員会として管理職だけにではなく、分かりやすくコミュニティ・スクール化する目的と意義を広く伝える必要があるのではないか。地域や保護者、教職員の理解を深めるための取組について伺う。
○教育長
教育委員会としては保護者や地域、また教職員の理解促進に向け、まずコミュニティ・スクールに関する資料を作成し、校長会で関係者への周知を依頼したところ。また、教育委員会主催のコミュニティ・スクールフォーラムを実施するとともに、今年度は、そのフォーラムで昨年度要望された学校支援コーディネーター養成講座を実施した。市内全小・中学校の管理職(担当教員)、コーディネーターや学校運営協議会委員などを対象に7月末に実施した本講座においては、まず文部科学省のコミュニティ・スクールマイスターから、学校とコミュニティ・スクール協議会の連携や取組の推進のポイントなどについて大変分かりやすく御指導いただいた。その後、学校とコーディネーターとの効果的な連携をテーマとし、実施校の校長とコーディネーターの方から実践事例や学校側やコーディネーター側の思いなどを具体的に紹介していただいた。また先日、8月27日に国分寺市地区連絡協議会(四者協)というものが開催された。そこでは民生委員・児童委員をはじめとして教職員、子育て関係者が集まり、「再び地域がつながるために」というテーマで話合いを持った。その中でも、コミュニティ・スクールについて、あるいは国分寺学について深く学び合うことができた。民生委員・児童委員の方から、「学校で何ができるか、ぜひ協力していきたい」という大変高い意欲がそこでは現れてきたということで、大変うれしい状況。また、今年度実施されるコミュニティ・スクールフォーラムは、10月下旬に第八小学校で地域人材を活用した授業の参観、また各校の取組内容や進捗状況の共有を行う予定。少しずつではあるが保護者や地域、教職員の理解・啓発、理解促進を図っていきたい。
○小坂
10月に開かれるコミュニティ・スクールフォーラムは大変よい機会になると考える。ぜひ広く参加者を呼びかけ、市内全域で理解を深める機会となるよう求める。広く知っていただくために市のホームページでもコミュニティ・スクールを紹介したページがあるが3年半更新されていない状況。早急にアップデートを。今年度初めに本市のPTA連合会が解散し、小・中学校の横の保護者間のつながりが失われてしまっている現状がある。今後、全校でコミュニティ・スクールが導入された際にはコミュニティ・スクールの連合会を組織し、情報共有、共通する課題について定期的に議論できる場が必要なのではないか。教育委員会の見解を伺う。
○教育長
学校と地域、また家庭が連携して子どもたちを育てる学校教育において、教育に関する情報共有や情報交換、また学校運営に関する連携協力ということは非常に重要である考える。PTA連合会の解散など学校を取り巻く環境も大きく変わりつつあることは認識している。保護者や地域との新たな連携の在り方については今後も大きな課題の一つだと考えているところで、まさに全校コミュニティ・スクール化の推進が一つの方策になるであろう。ただ、PTA連合会とコミュニティ・スクールは意味合いが違う。各校の特色あるいは取組をお互いに意見交換、情報交換し合うということで互いに高め合うという取組は非常に重要かと思うが、そのことをもって連合会を立ち上げるということについては、現在のところは考えていない。
○小坂
ぜひ長期的な視野を持った上で検討を。コミュニティ・スクールを推進し、よりよい地域づくり、学校づくりのきっかけとしていただきたい。教育の一番の当事者は地域住民でもある子どもたち。子どもたちが地域とともにある学校、学校を核とした地域づくりに当事者として参画できるような仕組みづくりを共に考えていきたいと思っている。私も一保護者として、できる限り尽力していきたい。
平成27年度の地域学校教育活動協働活動実施状況アンケート調査結果によれば、教育委員会、学校、地域コーディネーターそれぞれがコミュニティ・スクール活動の有効性は認めながらも、それを推進するための最も大きな課題としてコーディネーター人材の確保と育成、学校・教職員の余裕のなさ、学校・教職員の理解不足を挙げている。全校での実施を前に、今からこうした課題への対応策に取り組んでいく必要があるのではないか。検討を求める。