小坂まさ代2024年第4回定例会一般質問~1.すべての子どもを大切にした教育を⓶

(2)読み書き障害のある子どもの支援
○小坂
発達障害者支援法が平成16年に成立、平成28年に一部改正された。年齢及び能力に応じ、かつその特性を踏まえた十分な教育を受けられるようにするため必要な措置として、ほかの児童とともに教育を受けられるよう配慮しつつ、適切な教育的支援を行うこと、個別の教育支援計画の作成及び個別の指導に関する計画作成の推進、いじめ防止等のための対策の推進が新たに規定された。しかし、現実にはこれ以降も、特に学校教育の中で対応が取りこぼされてきたという指摘が専門家からはある。発達障害の中には、知的発達に遅れはないが、聞く、話す、読む、書く、計算する、推論するといった学習に必要な基礎的な能力のうち1つないし複数の特定の能力についてなかなか習得できなかったり、うまく発揮することができなかったりすることによって、学習上様々な困難に直面している学習障害の方たちがいる。国分寺市での学習障害、特に読み書き障害のある子どもたちの現状について、どのように把握されているのか。
○教育長
学習障害を含めて発達障害のある児童・生徒については、その多くが学級担任の気づきや、また保護者からの相談がきっかけとなって状況を把握し、支援につながっている。各学校では特別支援教育コーディネーターが、支援を必要とする児童・生徒の情報を収集し、校内委員会を企画・運営している。校内委員会には管理職、当該児童・生徒が在籍する学級担任、同学年の教員、養護教諭、特別支援教育コーディネーター、スクールカウンセラーなど関係職員が参加し、児童・生徒の状況に応じて共通理解をした上で支援につなげている。
○小坂
日本ではこの読み書き障害、ディスレクシアがある人の割合を示す統計は発表されていないが、文部科学省がまとめた「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果(令和4年)について」の中の児童・生徒の困難の状況では、知的発達に遅れはないものの、学習面で著しい困難を示す児童・生徒の割合が6.5%という調査結果があり、日本におけるディスレクシアの発現率の割合として一番近いものであると考えられている。これは1学級に2人程度の割合。脳に特性があり、文字と音の変換が苦手だったり、文字がゆがんで見えるなど、読み書きに困難を抱える児童・生徒は、本来ある能力や可能性を伸ばせず不当に低い評価を受けていたり、外見上その困難が目立たないことから適切な支援を受けられていない可能性がある。周囲の大人に理解されず「怠けている」「勉強ができない」と思われ、不登校に至ってしまう事例もあり、こちらにもそうした声が届いている。脳の特性によりできないにもかかわらず、音読や漢字の書き取りを強いられていたとのこと。今年3月公表された文部科学省委託事業、不登校の要因分析に関する調査研究によれば、不登校児童・生徒へのアンケートで、学校へ行けなくなったきっかけについて、体調面を除けば、「宿題ができていない」「学業の不振」が上位に来ており、関連が推察されている。「勉強ができない」のではなく、「違う学習方法を必要としている」という認識を持つ必要がある。ディスレクシアに対する教職員や保護者への周知、情報共有について伺う。
○教育長
教職員に対しては、毎年市教育委員会が主催して特別支援教育に関する研修会を設定。また、各校の特別支援教育コーディネーターを対象とした教育相談特別支援教育コーディネート推進委員会を年6回実施、教育相談や特別支援教育の推進上の課題の検討や、指導支援の好事例の共有などを図っている。これに加え、各学校ではコーディネーターや特別支援学級の担任、特別支援教室の担当教員が中心となり、校内での研修を実施している。保護者向けとしては、学校だよりなどの文書を通して理解啓発を図っている学校がある。ある学校では、特別支援教育コーディネーターや特別支援教室の巡回指導教員等が特別支援教育の理解啓発を目的にお便りを作成し、配布している。ほかにも特別支援教室の巡回校の全保護者を対象にした保護者学習会を開催し、保護者と教員がともに学ぶ機会を設けている。
○小坂
読み書き障害についてはまだまだ理解が及んでいないように思う。引き続きさらなる取組を。東京都の教育委員会では小学校におけるつまずきを把握するアセスメント方法の開発に取り組み、平成29年に読み書きアセスメント活用&支援マニュアルを作成した。こちらの活用方法、また読み上げ対応やICT活用、テストの時間の延長など、学校での合理的配慮の状況について伺う。
○教育長
児童・生徒の状況を把握するために、学校では様々な方法で見取りを行っている。そのひとつとして読み書きアセスメント活用&支援マニュアルを活用することがある。一口に読み書き障害といっても状況はそれぞれ異なり、学びやすい方法がそれぞれであることから、保護者と連携を取りながら学級担任等から学び方を提案し、児童・生徒が自分に合った学習方法を選べるようにしている。先ほどのマニュアルについては支援アイデアも掲載されていることから、教員が自身の指導や支援の参考にしたり、保護者と効果的な支援方法を共有したりすることに活用している。読むことが難しいお子さんの支援や合理的配慮としては、テストの際の教師等による問題文の読み上げ、分かち書きされた教科書の使用、リーディングルーラーやリーディングルーペの使用など。また、書くことが難しいお子さんは、1人1台端末を使用した写真による授業記録(板書撮影)、また文書作成なども行っている。