小坂まさ代 2023年第2回定例会 一般質問 ~その3 3、特別支援教育について、
3、特別支援教育について、
(1)小学校における特別支援学級について、
※資料説明
小坂議員一般質問請求資料○教育部長
資料上段の表は、小学校で知的障害特別支援学級を設置している26市の公立小学校134校について、1校当たりの学級数を比較したもの。あわせて、当市のわかば学級、双葉学級、けやき学級がどこに位置しているかを表中に記載している。
中段の表は、国分寺市内小学校に設置されている特別支援学級へ通う児童数の推移について、過去5年分を表したもの。令和5年度は、わかば学級45人、双葉学級22人、さつき学級31人、けやき学級26人、合計で124人。
一番下段の表は、中学校の特別支援学級の生徒数の推移。令和5年度は、F組28人、E組30人、I組16人の合計74人。各学級ごとに増減があるが、全体としては小学校、中学校とも増加傾向にある。
小坂:(1)(a)の表では、二小のわかば学級が多摩26市の134校中で児童数や学級数が上位6校に入るほど多いことが、また、134校中約8割の108校が児童数32人以下であることが分かる。さらに(b)の表からは、わかば学級と四小双葉学級の児童数がこの5年で約1.5倍、四小さつき学級が約1.7倍となっていることが見て取れる。
本市では、今年度、知的障害特別支援学級設置等検討委員会が設置された。その経緯と目的について伺う。
○教育部長
令和4年2月に策定した第4次国分寺市特別支援教育基本計画において、知的障害特別支援学級に在籍する児童も増えていくことが予想されること、また、今後の動向を注視することが前提になるものの、必要に応じて新たな学級の新設や学区域等について検討を進めるとしており、このことを踏まえ、令和4年度においては事務局内で基礎資料等を整え、令和5年度に本委員会を設置。本委員会は、小学校知的障害特別支援学級の設置等に関し、必要な事項を検討するために設置したもの。
小坂:この委員会については、公募委員募集が掲載された4月15日号の市報で初めて知った。応募締切りは5月12日となっていたが、委員会設置要綱がこの時点では公開されていなかった。公募委員の募集から結果連絡まで、また各校保護者委員の決定の経緯を伺う。
○教育部長
市民公募委員については、募集人数を大きく上回る応募があった。5月18日に選考委員会からの選考結果を受け、翌19日には最上位の方には直接連絡し、他の応募者の方にはメールにて結果を連絡。また、各校への保護者委員の依頼は、4月中旬に本委員会の目的等について説明し、5月初旬に校長会へ保護者委員の推薦について正式に依頼。その後、学校長から保護者へ依頼をしているという流れ。
小坂:この要綱が例規集のインターネット版にアップされたのは5月の中旬。応募締め切りまでに市民がこれを確認することはできなかった。1回目の委員会が5月25日ということを考ると、あまりにも時間軸に無理があったと思わざるを得ない。しかも、応募者に結果の連絡をし忘れるというミスもあったと聞く。今後このようなことのないよう、無理のないスケジュールと市民への丁寧な対応を求める。
さて、本市の小学校における知的障害特別支援学級は、昭和34年度、第四小学校の双葉学級、昭和55年度に第七小学校のけやき学級、昭和63年度に第二小学校のわかば学級が設置されて以来、約35年間、この3校での体制が続いている。2020年第4回定例会の生活者ネットワークからの一般質問で、「インクルーシブ教育の視点から各小・中学校に特別支援学級を設置して、地域の学校に通える環境整備を目指すべき」という提案に対して、教育長は「市内の設置校数については、今後も在籍人数あるいは学年の人数の推移を注視しながら、状況に応じて適切な対応を図っていけたらと考えている」との答弁。注視していたとのことだが、今回の検討委員会の設置は遅過ぎたと思わざるを得ない。国分寺市の学校教育要覧によれば、今から15年前の2008年度、既にわかば学級在籍児童数は今年度の双葉学級と同じに22名。遅くとも本市の児童数の増加、35人学級導入による教室不足の課題を検討する際に、特別支援学級の狭隘状況も併せて学校全体の問題として特別支援学級の環境の整備も検討されるべきだったのではないか。
○教育部長
改正法に基づく小学校35人学級の段階的な実施に当たっては、小学校全体の各教室の状況を詳細に把握し、今後の児童数の推計値を踏まえつつ、校庭の狭隘化の影響なども念頭に入れながら、学校施設の整備計画について検討を進めてきた。また、これまで特別支援学級に通う予定の児童数の将来推計がなかなか難しい状況にある中で、教育委員会と各学校とが通常の学級数及び特別支援学級数の情報を共有しながら適宜協議を行い、検討・工夫を重ねつつ、特別支援学級に通う児童の適切な学習環境の確保に努めてきた。昨年2月の市の第4次特別支援教育基本計画の策定内容を受けて、今年新たに立ち上げた特別支援学級設置等検討委員会での今後の検討結果を踏まえつつ、引き続き児童のよりよい学習環境の整備に努めていく。
小坂:この委員会を傍聴した。各校の現場の先生や保護者の方から、教室が同じ階になく、特別支援学級は異年齢の子どもたちが関わりを持てることが一つのメリットだが、それができにくい状況にある。住んでいる地域から学校が遠い児童がいて、ルートによりバスの乗車時間が1時間かかっている子どももいる。教室は薄いカーテンで仕切られ、効果が高いとされている視覚教材は使えない、黒板もない、知的と情緒障害を併せ持つ児童にとっては落ち着かない環境である。介助員が1人に集中しがちで取り残されている子もいるなどという意見が出ていただいたことを確認。専門性のある委員の方からは、「カーテンで仕切るという教室の分け方はあまりにもお粗末、早急に対応するべき」という意見が出ていた。現場の声を聞き、できるだけ早い対応を求める。
②中学校における特別支援学級について
小坂:現在のこうした小学校の状況は、今後中学校に及ぶことが懸念されている。今年度、既に二中のF組は平成30年度の1.75倍、早急に検討を進めるべき。見解を伺う。
○教育部長
知的障害特別支援学級の児童の進路は、市内の中学校の特別支援学級へ進学する場合や、都立学校に進学する場合など様々。中学校における特別支援学級につきましては動向を注視し、必要に応じ検討していく。
(3)クラスアシスタントと介助員について、
小坂:本市では、通常の学級において障害のある児童・生徒の学校生活への適応などを支援するため、特別支援教育クラスアシスタントを配置している。今年度はこのクラスアシスタントの予算が増額となったことを、3月の予算特別委員会で確認。通常級でのサポートが必要な児童に、発達や障害に理解のある方の配置も要望。こちらの配置は順調か、各校の配置状況について伺う。
○教育長
クラスアシスタントは、令和5年度から東京都の補助金も活用しながら人員を拡充したところ。小学校には、年度当初に各校1名をまず配置、さらに必要がある場合には、学校からの申請を受けて追加配置している。現段階では人材確保ができており、配置については順調。
小坂:特別支援学級において児童・生徒の身辺の介助をする介助員について、配置状況はいかがか。
○教育長
介助員につきましては、本市独自の施策。特別支援学級の1学級に1人配置し、児童・生徒一人一人に応じた支援を行っている。現在、この基準に基づく必要な配置ができている。
小坂:生活者ネットワークでは以前より、障害の重さや特性に配慮し、クラスに1名だけではなく、より柔軟な配置や運用ができるように規定や配置基準を見直していくことを求めてきた。引き続きの検討を。
⑷就学相談について、
小坂:小学校や中学校の入学に際し、心身の発達に不安があるお子さんの就学に関する心配事を受け止め、一人一人に合った就学先の相談に対応している就学相談。令和2年から4年度の相談件数と本年度の相談体制について伺う。また、本年4月19日に就学相談特別支援教育説明会がリオンホールで開催されたが、昨年度、今年度の参加者数についても伺う。
○教育長
就学相談の件数は令和2年度が127件、令和3年度が146件、令和4年度が127件。また、令和5年度の相談体制につきましては、相談員は心理部門と言語部門を合わせて10名、統括する主任相談員が1名、そして教育支援担当係長1名の12名の体制。
就学相談特別支援教育説明会の参加者数は、令和4年度は約90名、令和5年度は約100名。
小坂:第4次国分寺市特別支援教育基本計画によれば、相談件数の増加に対応するため在り方を見直す必要があるとあるが、現在の検討状況について伺う。
○教育長
教育相談室へ寄せられる相談件数は年々増加している状況。教育相談室の負担を軽減するために、例えば児童・生徒が特別支援教室への入級を希望する場合の申込み先を教育相談室から在籍する学校へと変更したりしながら、教育相談室における手続を削減した。またあわせて、令和5年度から特別支援教育担当係長を配置するなど、本市の教育相談や就学相談等の効果的・効率的な運営について整理と分析を行いながら、改善に向けて取組を始めた。
小坂:東京都の特別支援教育推進計画(第二期)第二次実施計画では、区市町村教育委員会が就学相談を進めるに当たっては、本人及び保護者に対して十分な情報提供をした上で、その意見を最大限に尊重しつつ、本人及び保護者、区市町村教育委員会と学校等が教育的ニーズと必要な支援等について合意形成を行うことが求められるとある。市教委として、本人や保護者との合意形成において最も重要と考える点はどういったところか。
○教育長
合意形成において最も重要なことは、子どもの健やかな成長、これを中心に据えながらの就学相談と言うことができる。相談の基本は「共感と受容」が重要であり、本市の相談員も、また各学校の教員も日々心がけている。専門家からの意見も伺う中で、保護者の考えとは異なる内容もお伝えする場面もあろうかと思うが、基本的には保護者の気持ちに十分寄り添いながらライフステージを見通して、また教育的ニーズと必要な教育内容等を総合的に判断して適切な就学先を保護者と共に考えていくように努めている
小坂:リオンホールで配布された資料を見た。就学相談の基本方針のところでは「総合的に判断して適切な就学先を判断する」という表現が用いられ、内容もデザインも硬く、文字情報が大量だと感じた。子どもの就学に当たっては、保護者なら誰もが大きな不安を抱えているもの。障害のあるお子さんを育ててきた方々なら、なおさらなのではないか。
神戸市の同様の資料の表紙には「もうすぐ1年生 様々な学びの場について一緒に考えましょう」と書かれ、表紙もデザインやフォントも軟らかで、文字数が少なくしてあり、「安心して入学式を迎えられるように、教育委員会と一緒にお子様の学校生活について考えていきましょう」とのメッセージも添えられていた。当日出席できない方への配慮もあり、詳しい内容は文字ではなく、市のホームページから動画で見られるようにもなっていた。本市でも保護者の心に届くような、読み手の気持ちに配慮した資料の作成の検討を。第2次教育ビジョンの「悩みを持った子どもや保護者が相談しやすい体制が整っています」との目標に向かって、一人一人に寄り添った対応を求める。
○教育長
特別な支援を必要とする子どもや、また学業や友達関係、進路など様々な不安や悩みを抱えている子ども、あるいは子どもの教育やしつけなどに悩んでいる保護者の皆さん、こちらの方が安心して相談できる体制となるように、学校や関係機関と連携しながら教育相談体制の強化に努めていく。また、資料については神戸市の資料なども参考にしながらその改善に努めていく。
小坂:最後に、寄せていただいた保護者の声を紹介したい。
「今後、作業療法士や理学療法士、言語聴覚士、臨床心理士といった支援の専門家と連携していくことで、学習環境の基盤をよりよいものに整えていっていただきたい。」
「障害があってもなくても、自分が住む学区にある小学校へ通うことができる体制を整えてほしい。特別支援学級に通うために学区外にある友達も兄弟もいない遠くの小学校へ通わなければいけない現状は、改善されるべきだと考える。まずは、特別支援教室を全校に配置したような手法で、拠点校、巡回校というように学びを保障していくことも考えられるのではないか。」
多くの保護者の方、教職員の方々、何よりも子どもたちの声を聞き、本市の子どもたちの学びの場の整備を強く要望する。