地域からもらった力を市政につなげたい その3

国分寺に暮らして12年。こんにちは。小坂まさ代です。

自己紹介を兼ねてこの街での暮らしを綴る第3回。今回は、大好きなH文庫との出会いのお話しです。

玄関が二つあるそのお宅の前には可愛らしい看板が出ており、「本の好きな方、どなたでもどうぞ。」と書いてありました。
抱っこ紐の中の娘としばらくその前を行ったり来たり。思い切ってドキドキしながらようやくドアを開けてみると、「こんにちは。初めていらっしゃる方ね。ようこそ。どうぞお入りください」と温かく迎え入れてくれました。あの日のSさんの笑顔に心がほどけるようだったことを思い出します。

それから毎週金曜日のお話し会に通うようになり、少しづつ知り合いも増え、子どもを連れて外に出かけるようになりました。
考え方を変えてみれば、独身の頃の自分には行けなかったところに行けるようになっていたのです!
それまで見えていなかったものも、少しずつ眼鏡をかけたように見えるようになってきました。

「幼い子のいる親のための教室」という託児付きの公民館の講座や、小さい頃から本物を見せてくれるギャラリーや、赤ちゃんと一緒に気兼ねなく聴ける小さなコンサート、おむつ台のある素敵なカフェ…。
この街にある子育て中の人を温かく迎えてくれる場所にたくさん出会えるようになっていきました。

そんな暮らしにようやく慣れてきた頃、仕事に復帰。
文庫のお話し会にはもう通うことができなくなりました。
通勤の混んだ電車も「一人になれる時間」と感じられ、以前ほど苦ではなくなっていましたが、保育園と職場と自宅をあたふたと往復する毎日が始まりました。
通勤電車の中でふと「こちらから行けなくなってしまったのなら、文庫の方たちに保育園に来てもらえないだろうか?」と思いつきました。図々しい思いつきも年の功からか恥ずかしさもなく、文庫の方たちと保育園にご相談したところ、すぐにどちらからもご快諾いただき、保育園での月に一度のお話会が実現することになりました。

そのお話会には私も読み手としてご一緒させていただくことになりましたが、自分の子どもの前以外で読み聞かせをしたことはなく、声は上ずり、ページのめくりも上手くいかず、子どもたちへの声かけも堅苦しく、自分の読み手としての拙さに落ち込むことばかり。そんな私を見た文庫の方が「同じお話しでもね、どこで、誰と一緒に、誰から聴くかによって届き方が違うのよ。連れて行かれた知らない場所でどんなに上手な読み手が読むよりも、いつもの保育園の部屋で、いつも一緒のお友達と、いつもの近所のお母さんが読んでくれる方が子どもの心には届くの。だから、心配しなくても大丈夫よ。こさかさんの気持ちは、ちゃんと子どもたちに届いているから。」とおっしゃってくださったのです。
「そうか!遠くのプロよりも、下手くそでも近くのおばちゃんにしかできないこと、近くのおばちゃんだからこそできることがあるんだな」と教えてもらったのでした。
それからは素敵だと思う都心での親子イベントに参加するより、自分の暮らすこの街で、顔見知りの子たちと一緒にできるようなワークショップやお話し会を自ら企画し、友人に相談しながらやってみるようになりました。

と、今日はここまで、続きはまた次回に!
大好きなこの街での暮らしと市政のつながりを、子どもたちにもわかりやすく伝えていけたらと思っております。
どうぞよろしくお願いいたします♪