「紛争被災地の声から考える平和」〜フォトジャーナリスト安田菜津紀さんの講演会に参加しました

福生市民会館で開催されたの講演会に参加しました。テーマは、「紛争地、被災地の声から考える平和」「今日はとても暑いですね。会場の温度は大丈夫ですか?私の声は後ろの方まで届いていますか?前の方、大きすぎませんか?」と常に聞き手に寄り添いながら、ご自身の撮られたシリアやウクライナ、陸前高田市の写真とともに現地での様子やご自身が出会った方のこと、そこで感じたことについて、お話しされました。
「日本は戦争をしない国だという信頼から、これまで取材を続けてこられた。その信頼を自ら壊そうとしていることに非常に危機感を持っています。」
と終始凛とした美しく優しい声で話されました。

国境なき子どもたちの友情のレポーターに応募し、高校生のときカンボジアを訪れたことが現在の活動につながっている安田さん。そのときにトラフィックトチルドレンと呼ばれる人身売買の被害者である同世代の若者たちとの出会いから、「あなたの問題に対して私にできることは何だろう」と考えるようになったそうです。
「あなたとわたし。心の距離が縮まる出会いにまさるものはない」との言葉に深く共感しました。

「平和な空だけを望む」ウクライナで夫を失い、自らも重症を負ったカリナさんの言葉。「おっきい人たちにこんなことはもうやめてと伝えて」シリアで片脚を失ったサラちゃんの声。成長とともに骨を削り義足を作り直さねばならない、カリナちゃん。戦争の残した傷は深く、終わりはありません。

日本の子どもたちに授業などで、こうした現状について伝えるときには、悲惨な現実よりも、美しかった戦前の写真を見せて考えてもらっているとのお話しもありました。

2021年日本の難民認定率はわずか0.7%
今回の出入国管理及び難民認定法改正案は差別の法制化であると安田さんは強く訴えています。「ひとりの人間を大事にできない社会に多くを大事にできるでしょうか」
武力での威嚇ではなく、追われてきた人たちの居場所を。世界標準の人権基準を。

どんな未来を次世代に手渡していきたいのかは、私たちひとりひとりが考えていかねばならない問題です。世界中には大きな課題が山積していて、立ちすくんでしまいます。けれども、自分自身のペースを大切に、役割分担をしながら、できることを持ち寄っていくことで、次世代に手渡したい未来をつくっていくことができると、この日のお話しから力をもらいました。知る知らせる輪を広げていくこと、恩送りの気持ちの連鎖など、地域から、小さなことから皆さんと積み重ねていきたいと思います。